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事実を整える

政治関連など報道されていることで、よくわからない点や誤解が多い点について、事実に基づいて整理します

福島県の放射線と甲状腺がんの調査結果等

福島県の子供の外部被ばく線量と甲状腺がんとの関連についての調査結果

悪いニュースというのは強調され、頻繁に報道されるものです。しかし、良いニュースがあり、それを伝えること自体が有益ならば、もっと積極的に情報発信すべきだと思います。ただ、この件に関しては良いニュース、と言ってしまうのも慎重になるべきだと思いますが、少なくとも安心を与えてくれるものであることは間違いありません。
 
http://fukushima-mimamori.jp/news/2016/09/000336.html
論文URL
http://journals.lww.com/md-journal/Fulltext/2016/08300/Co...
...
※※※※※※※ 論文の概要 ※※※※※※※※※※

県民健康調査の基本調査における個人の外部被ばく線量の結果をもとに、福島県を3地域(外部被ばく線量が5ミリシーベルト以上の方が1%以上いる地域、外部被ばく線量が1ミリシーベルト以下の方が99.9%以上の地域、それ以外の地域)に分け、地域間で甲状腺がんの有病率に違いがあるかどうかを検討したところ、地域間で違いはみられませんでした。
内部被ばく線量が考慮されたWHO(世界保健機関)の被ばく線量分析の結果に基づいた地域分類(3地域)でも検討を行いました。こちらでも、甲状腺がんの有病率との有意な関連はみられませんでした。
さらに、甲状腺検査と基本調査を共に受けられた12万9321人について、個人の外部被ばく線量と甲状腺がんの有病率との関連を分析しましたが、関連はみられませんでした
本論文では、福島県における震災後4年間にわたる調査(先行検査の実施期間)において、外部被ばく線量と甲状腺がんの有病率との有意な 関連がみられなかったと結論付けています。


※※※※※※※※※※※※※※※※※

なお、「論文のより詳しいご紹介」には、以下の事実がまとめてあります。

個人の外部被ばく線量と甲状腺がん有病率との関連
外部被ばく線量が以下の場合における甲状腺がんの割合はそれぞれ
1ミリシーベルト未満             0.05%
1ミリシーベルト以上2ミリシーベルト未満    0.04%
2ミリシーベルト以上             0.01%

 

これは、放射線量が低いほど甲状腺がん有病率が高いという読み方をしてはいけません。少なくともこの3グループの中では、有病率に「有意な差がなかった」ということ、すなわち、少なくともこの3グループの中では放射線量の高低で有病率に変化があるわけではないということを意味します。
 
さて、このように5年以上にもわたる長期的かつ大規模な調査の結果、福島県の子供たちに原発事故による放射線の影響が疫学的に否定されたと言えるでしょう。
 

これからの課題

 
上記論文は去年発表されたものですが、放射線による害が科学的根拠により裏付けられているというのであれば、このような結果も科学的根拠に基づいているものであり、尊重しなければなりません。

 マスメディアがこのニュースに関して大々的に報じることはありませんでした。甲状腺がんの疑いがあった、とされたときには、大々的に報道していたにもかかわらずです

福島の人々に故郷を取り戻させるのは、放射線についての正しい認識です。
 
原子力発電所の安全確保など、その他に乗り越えるべきものがあることは確かです。しかし、その前にまずは私たちが放射線に関して正しい事実を認識することが大切です。風評被害を含めた、復興の障害、故郷への帰還の障害を取り除くのは、最終的には私たち一般国民の福島に対する正確な理解です。
 
さて、福島原発事故を大げさに報じ、福島県の人々を貶めたい人々は、これから第4段階に入ります。私は、放射線について危険性を煽る報道を以下のような段階で捉えています。
※もちろん、放射線の影響につき、真摯に一定の危険性を伝えようとする方の意見を排除する意図はありません。ここではそのような方とは全く異なり、専ら不安を煽ることを目的にする者を対象にしています。

第1:放射線量それ自体が高いことを根拠にして不安を煽る
第2:放射線の核種の違いによる影響の違いを根拠にして不安を煽る
第3:疫学的調査の結果を誤解し、誤認させる情報を拡散して不安を煽る
第4:生物濃縮による土壌、農作物汚染の疑いを持たせて不安を煽る

 
上記論文は、第3段階の疫学的調査の結果です。今後は第4段階が主戦場です。もちろん、生物濃縮については研究が進められている最中であり、軽々しいことは言えませんが、さしあたり水産庁が公表しているデータとして
 
 
セシウムについては、水銀や有機塩素化合物などと異なり、食物連鎖を通じて魚体内で蓄積しつづけるわけではない。」

※「蓄積しつづけるわけではない」 というのは、「生物濃縮はしない」と捉えても支障はありませんが、厳密にはある程度の生物濃縮はします。しかし、メチル水銀などとは全く異なり、生物濃縮しないと言っても支障がない程度の微量しか蓄積は起こらないという意味です。ただ、専門学者が「生物濃縮しない」と言い切って発信するのは誤解を生み、事実そのツイートが炎上しました。学者には一般人にどう受け止められるかという観点から発信する言葉を考えてほしいです。
 
ただし、危険性が全て除去されていると言い切るには研究が不十分であり、今後も継続調査が必要であるということも、同時に発表されています。
 

今後も出てくる「危険性を煽る報道」

 
さて、私たちは、無批判に安全であると言う情報を信じてはいけませんし、同時に危険性を捏造する情報によって、不要な不安を感じるということも避けねばなりません。残念な事に、以下のような報道が大手メディアと呼ばれるものによって行われているのが現状です。
 

Yahoo!配信レポート】ダム表層水のセシウム「1.63bq/L」→「検出下限値未満」に訂正 毎日新聞

毎日新聞が9月25日付朝刊で、福島第一原発周辺のダム底に高濃度セシウムがたまっている問題を報じた記事に誤りがあったとして10月4日付で訂正した。ただ、誤りの経緯や原因についての記載はなく、訂正記事の出し方に疑問の声もあがっている。

・誤りの指摘を受けた後も、毎日小学生新聞が全く同じ誤報を掲載していた。毎小はまだ訂正を出していない。

 http://bylines.news.yahoo.co.jp/yanaihit…/20161004-00062885/ 
 
要点を解説すると、ダムの表層水(水深0.5m)における放射性物質についてセシウム134は「<0.75」セシウム137は「<0.88」という表記だったとのこと。この意味は、(科学的手法の問題か、検出機器の問題かはわからないが)『検出できる下限値がセシウム134は0.75であり、セシウム137は0.88であるところ、今回の調査では、この検出下限値に達しなかったため、(おそらく機器が数量を示さず)、不検出であった』ということです。
 
もっとざっくり言うと、例えば体重計では100グラム単位までしか測れないのに、「塩少々」とか、「小麦粉おおさじ一杯」を体重計に乗せても、重さは表示されません、ということです。
 
なお、ダム底の堆積土における放射性物質量については、この記事からはわかりませ
ん。
 
引用記事の文章の中で、最もおそろしいのは、この一節です。
 

『担当記者は検出下限値の意味を知らなかったわけではないようです』

 

つまり、担当記者は検出下限値の意味を知り、その通りの原稿を書いたが、上層部から訂正前のような記事を書くようにチェックが入った可能性が非常に高いということです。現場の記者の努力むなしく、会社の方針によって事実が報道されなかったり曲げられてしまうということは、至るところで見聞きしますが、それについては別の機会に。
 

私たちにできること 福島の方が「故郷を取り戻す」ために

もちろん上記のような記事が捏造だから、逆に安全であるということにはなりません

大切なことは、正しい事実の認識を日本国民である私たち一人ひとりが持つこと。それが福島の方々に故郷を取り戻させることになること。それは何も多くの専門知識を理解する必要はなく、一般人でも可能であり、むしろ一般人である私たちが認識してこそ故郷を取り戻すことが実現できるということ。

 

世界で最も教養の水準が高い日本国民であれば、それができると思っています。

 

私としては、「福島が安全であること」を内容とする情報は、あまり報道されないことに鑑み、必要があればここで紹介していきたいと思います。

 

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