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報道を整理する「じょうほうせん」記録

政治関連など報道されていることで、よくわからない点や誤解が多い点について、事実に基づいて整理します

書店の棚を見て回った結果、「厩戸王」推進派の周到な準備が分かってしまった件

新学習指導要領問題 サラミスライス戦略

この件に関するパブリックコメントも締め切られてしまいましたね。

4600件のパブリックコメントの大半が変更に反対だったとのことです。

www.facebook.com

この件が決着するのは3月末であるとのことですが、どのような結果になろうとも、なぜこのような状況になってしまったのかをしっかりと反省しなければならないと思います。

脚も使ってこの件について調べてみると、かなり「彼ら」は用意周到に準備をしてきたということが伺われます。今回の指導要領案の表記変更は、実は予兆があったのです。

 

 

学習指導要領の前段階:検定教科書からの切り崩し

検定教科書:初等・中等教育課程に用いられる文部科学大臣の検定を経た図書のこと

学習指導要領に手を加える以前に、文部科学省が検定をし、公式教科書として扱われる書物が狙われていました。

検定教科書の記載に、今回の「厩戸王」に繋がる布石が打たれていたのです。

その一例が、(株)学び舎 の歴史教科書です。 

以下は、学び舎にかんする「新しい歴史教科書をつくる会」の意見です。

現行版の歴史教科書のうち、学び舎の教科書は、大きな文字で「厩戸皇子」という見出しをつけています。聖徳太子の肖像もなく、一方で隋の皇煬帝(ようだい)の肖像画はしっかり掲載されています。この教科書は今回の文科省の方針を先取りしていたといえます。

 

ついでに言えば、学び舎の教科書が平成27年に検定に合格したことについて、教科書検定審議会歴史小委員会の委員長をつとめた上山和雄氏は、「学習指導要領の枠に沿っていない」と評価し、政治的な配慮で特別に合格とされたことをにおわせています(朝日新聞、平成27年4月24日)

 

しかし、「学習指導要領の枠に沿っていない」教科書は本来検定不合格となるべきものです。学び舎教科書の合格をめぐる疑惑を、この際改めて問題にせざるを得ません。

支那の記述に沿った内容というのは、以前に指摘した「厩戸王」推進派の論理と一致するものであり、聖徳太子を抹殺しようとする者が類型的に取る論法と類似しています。

nathannate.hatenablog.com

 

 「彼ら」は以下のような段取りを考えていたのでしょう。

  1. 聖徳太子厩戸皇子
  2. 厩戸皇子厩戸王
  3. 学習指導要領に手を加えられないのなら、検定通過教科書に聖徳太子以外の記載の実績を作る

このように、徐々に徐々に目的とする成果に近づいていき、既成事実を作ることで障壁を切り崩していく手法を、ケントギルバートさんや藤井厳喜さんらが比喩的に表現するように

サラミスライス戦略

と、一応呼ぶことにします。

ちなみに、当該教科書の内容については以下の記事を参照ください。

www.sankei.com

 

つくる会の意見の中で、「学習指導要領の枠に沿っていない」とありますが

これは文部省が学び舎の初回原稿を一度不合格処理した後、「強制連行を直接示す資料は発見されなかった」という日本政府の見解を併記する条件で慰安婦関連記述を許容したということです。

 

 一応、学び舎の教科書は、検定には合法的に通過していることを指摘しておきます。

 

もっとも、今回の件と学び舎の教科書の記述に関連性があるというのは、慎重になるべきです。このあたりはフェアに考えなければなりませんし、何か特定の主体が悪であるとし、原因を全てそのものに帰責させるという態度は慎むべきです。

 

ただし同時に、この教科書の「厩戸皇子」の記述が、「厩戸王」への足掛かりとなるものであるということも確かです。

 

今回、学び舎が主体として積極的に何かをしたということはおそらくないでしょう。

 

しかし、何者かがこの記述を利用して、指導要領の表記を「厩戸王」へスライドさせる方向へと働かせるということは、無理な考えではありません。

 

検定教科書の記述は?

教科書目録(平成28年4月):文部科学省

実は検定教科書は、歴史に関して言えば、上記目録に記載されている数社が発行しているものしかありません。

これらのうち、東京書籍、教育出版、清水書院、日本文京出版、育鵬社は、HPに掲載している指導計画案において、「聖徳太子」の記述のみを用いていました。

これに対し、自由社帝国書院、学び舎は、HP上に指導計画案を確認することができませんでした。

もっとも、指導計画案がWEB上にないからといってどうということはありません。

また、指導計画案に「聖徳太子」のみ用いていたとしても、検定教科書の記述でその他の記述がないとも限りません。

近隣の書店を回りましたが、検定教科書は扱っておらず、どうも一社の供給会社が一手に各学校へ販売しているようであり、その会社は段ボールが積みあがっていてどうやら書店ではないので、読むことができませんでした。

知人のご子息に中高生がいるので、聞いてみようと思います。

 

厩戸皇子」の表記をどう考えるか

今回、「学び舎」に矢面に立って頂きましたが、少なくともこれまでの検定教科書において聖徳太子厩戸皇子)や、厩戸皇子聖徳太子)、厩戸皇子単独表記という記述のある教科書は存在していたようです。*1

私は、そのような表記は、正確な歴史的事実を把握すると言う観点からは、正当なものとして理解できます。日本書記の記述との関連性も把握できることになるのですから。

しかし、先に論じたように、聖徳太子を抹殺しようとする者がいることも確かなのですから、我が国の歴史文化を護るという観点からは、聖徳太子聖徳太子厩戸皇子)の2択しか考えられないということになります。

一定程度の合理性があるからといって、サラミスライス戦略の付け入る余地を与えてはいけませんからね。

 

検定教科書のさらに前段階:学習参考書等の記述

さて、この問題について知見を得ようと、書店の歴史関連の書棚を調べてみました。

f:id:Nathannate:20170315233254j:plain   f:id:Nathannate:20170315234124j:plain

 

サラミスライス戦略は、実は検定教科書の更に前段階から始まっていたことに気づいてしまいました。

私が読んだ限り、教科書ではない受験対策本等の、いわゆる学習参考書の類の本では

 

ほぼ全て聖徳太子ではなく厩戸王の表記のみでした。

 

児童向けマンガ日本史等の本では、聖徳太子と「厩戸王」の記述は五分五分でした。

つまり、これらの領域においては、相当程度早い段階から、「厩戸王」の表記が用いられてきていたということです。

今の大学生以下のこどもたちは、既にこういう言葉のシャワーを浴びていたのです。

 

なお、同時に聖徳太子の時代の歴史書も書店で読みましたが、「厩戸王」の表記を使用している書物は、なんらの断りもなく使用されていました。

そしてとうとう、「厩戸王」の表記を用いる理由は、皇子などの表記は没後に編纂された日本書記等の書物にしかなく、生存当時はまだそのような言葉は使用されていなかったであろう、というものしか見つかりませんでした。*2

(脚注に示した弘文館の著書は聖徳太子のみの記述を取るものです)

なお、「厩戸王子」という表記を用いる者もおり、「厩戸王」がマシに思えてしまうという、ハードルを下げる手法を用いる?者もいます。

www.amazon.co.jp 

 

結論:サラミスライス戦略から歴史を護るために

  1. 日本人の認識からの聖徳太子の抹殺
  2. 学習指導要領の表記変更
  3. 検定教科書の表記変更
  4. 検定教科書以外の教科書または学習参考書における表記変更
  5. 一分の合理性のある学説の創作

こうしてみると、1番目の目標に向かって、着実に事が運ばれていたことがわかります。

これに対処するためには、専門知識は必要ありません。

ただ、「敵」は歴然と存在するのだと言うことを認識することから始めなければなりません。

 

私たち日本国民の『認識そのもの』が狙われているというのは、GHQの例で知っているはずです。それ以外の者が行わないと考えるのは、どうかしているのです。

最後に、胸糞が悪くなりますが、聖徳太子は教科書から消えたという嘘を公共の電波でまき散らしていた者の動画を貼り付けます。

 

www.youtube.com

 

*1:ここまで変わった日本史教科書 2016年 吉川弘文館

*2:ここまで変わった日本史教科書 2016年 吉川弘文館